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遠野 秋葉


「なつかしいわね。子供のころは、
こうやって二人で庭を探検したっけ」

「探検してたのは俺達のほう。
おまえは黙って後ろからついてくるだけだったじゃないか。
今にして思うとな、あれはわりと恐かったぞ」
 そう、子供のころ庭で遊んでいると視線を感じて、
振り返ると真っ黒い洋服を着た秋葉が物陰から覗いていた。
長い黒髪と人形みたいに整った秋葉の顔は、
なんだか妹というより妖精か何かに見えて
ゾクッときた覚えがある。

秋葉/EventScene

「むかしの秋葉はひどく無口だったのに、
今じゃあーだこーだとうるさいのなんのって。
ほとんど詐欺だぞ、これ」

「あら。わたし、そんなに口やかましいですか?」

「ああ、まるで俺の教育係みたいだ。
ほんと、人間ってのは変わるもんだよ。
むかしの純朴な秋葉はどこいっちまったんだ」

「たぶん、どこにも言ってないと思いますよ」
意外なことに、秋葉はくすりと笑って夜空を見上げる。
頭上からは、はらはらと落ちる紅葉の雪。

「兄さんがそれに気づいていないだけで、わたしは昔の
ままの、臆病なこどもですから」

Scene 1 Scene 2

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