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アルクエイド = ブリュンスタッド
(Arkaid = Brynsted)


「アルクェイド、おまえ」
「…ええ、見てのとおり。わたし、もうダメみたい」
あえぐように吐息をもらして、アルクェイドは視線を泳
がす。
 一歩づつ近づいてくる足取りが、蜘蛛の糸の上を歩くように
たどたどしい。
「…ごめんね。わたし、喉が乾いてしかたがないんだ」
 ぜいぜいと肩をゆらして、近づいてくる。
そこには以前の凛々しさや気高さは微塵も存在しな
い。
アルクェイドは、ただ、無様だ。
 …俺にはとても見ていられない。

彼女は、ほんとうに、苦しそうだったから。

「赤い血は、嫌いなんだろ?」
ええ、と彼女は俯いたまま頷いた。
「赤い血はキライ。故郷の――悪い月を思い出すから」
そうか、と俺は頷いた。
「でも、苦しいの。このままじゃ狂いそうなほど苦しいの。
だから―――」
「気にするな。俺だって死にたくないからおまえを殺すん
だ。仕方ないって、こういうことだろ?」
いまから殺しあうお互いの気が楽になるように。
できるだけおどけた調子で、そんな意味のない事を口
にした。

Scene 1 Scene 2

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